ハッシュハッシュ・イレイザー
「とにかく、皆、青春しなさい。だからこのクラスの席順は、男女ペア奨励!」

「担任が煽ってりゃ、世話ないわ」

 また誰かが口を挟んだが、先生という立場で有無を言わせず男女ペアの席順を決められると、却って清々しく受け入れやすかった。

 物事をはっきりとさせるお蔭で、鮎川の評判は悪くはなかった。

 器量はとびっきり美人ではないが、自分に自信があり、キビキビとして見ていて気持ちがいい。

 信頼できる頼もしさと、話しかけやすい態度で生徒たちは華純を気に入っていた。

「ほらほら、これは先生からのチャンスよ。有難く受け止めなさい。それじゃ、くじ引きの箱を回すよ」

 男女別に分けられた、華純お手製の四角い二つの箱が順番に回ってくる。

 上の部分に丸く穴が開いていて、そこにみんな手を突っ込んで紙を一枚取っていく。

 紙に書かれている数字と、あらかじめ黒板に書かれた席順の数字と見合わせる。

 自分の席がどこになるか、誰もがドキドキ、ハラハラとしていた。
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