ハッシュハッシュ・イレイザー
 優介はその名前が人柄を表しているように、誰にでも優しく、気さくな男子生徒だった。

 少年と青年のちょうど間のまだあどけなさが可愛く、不意にふと憂いを見せた表情に気品を感じ、笑えば爽やかに清々しい好青年だった。

 分け隔てなく誰とでも話すから、仲良くなるには時間がかからない。

 そのため、女の子達はすぐに気を許してしまって、優介の事を気に入ってしまう。

 要するにモテル男だが、それを鼻にかけずにあくまでも自然体だから、隠れファンも多い。

 そして、この放課後、一番人気の優介の隣の席を手に入れたのは紫絵里だった。

 それがわかった時、女子達は心の中で舌打ちをした事だろう。

 その中でもクラスでも目立つ女の子達は、気に入らないと露骨に悪態をついていた。

 そんな事お構いなしに、紫絵里は気にせず背筋を伸ばして堂々としていた。
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