ハッシュハッシュ・イレイザー
「月の光を固めて作ったのね。まるで道端で子供たちが落書きをして遊ぶチョークの石みたい」
「チョークか。えらく安っぽいものの例えに聞こえる。まあいい。好きに噂を流せば、価値のあるものになるだろう。使い方は君に任せるよ。その魔力の力は知ってるだろ?」
「ええ、そうね、夢が叶えられるってとこかしら」
「せいぜい、好きにやってくれ、ナナ」
「わかったわ」
ハイドが宙に飛び立とうとしたその瞬間、大きく黒い羽根が力強くひらかれた。
大地を蹴って、軽々と空を舞うハイドは月を背景にシルエットとなる。
「ナナ、俺はお前もやっぱり好きだぜ」
空の上から叫んだハイドの声に、私は笑わずにはいられない。
「浮気者……」
私はこれから始まる歪んでしまった恋の行方と、その紡がれる愛の物語に、少しだけ身震いする。
青い月夜を眺め、空を舞うハイドの姿を見えなくなるまで目で追っていた。
「チョークか。えらく安っぽいものの例えに聞こえる。まあいい。好きに噂を流せば、価値のあるものになるだろう。使い方は君に任せるよ。その魔力の力は知ってるだろ?」
「ええ、そうね、夢が叶えられるってとこかしら」
「せいぜい、好きにやってくれ、ナナ」
「わかったわ」
ハイドが宙に飛び立とうとしたその瞬間、大きく黒い羽根が力強くひらかれた。
大地を蹴って、軽々と空を舞うハイドは月を背景にシルエットとなる。
「ナナ、俺はお前もやっぱり好きだぜ」
空の上から叫んだハイドの声に、私は笑わずにはいられない。
「浮気者……」
私はこれから始まる歪んでしまった恋の行方と、その紡がれる愛の物語に、少しだけ身震いする。
青い月夜を眺め、空を舞うハイドの姿を見えなくなるまで目で追っていた。