ハッシュハッシュ・イレイザー
「マリア、あなたの気持ちよくわかるわ。あなたが苦しむと、私も苦しくなるもの。私がなんとかしてあげたい」

「真理、いいのよ。私は大丈夫だから。真理の方がもっと心配だわ。あなたは私のために苦しんでばかりだもの」

「そんなの、時間が経てば忘れて行くわ」

 憂いな顔を見せまいと、真理は少しだけ気まずく目をそらした。

「やっぱり、いつも苦しんでるのね。私がこんな体じゃなかったら、真理はもっと自由だったのに。迷惑一杯かけてごめん」

「何を言ってるの。マリアの気持ちは私だけが理解できるのよ。だから、無理しちゃだめ。もっと慎重になって」

 二人はお互いを強く思いやり、気持ちを重ねて暫く抱き合っていた。

 マリアは葛藤しながらも、真理の気持ちが嬉しく素直に喜びをこの時抱いていた。

 二人が落ち着きを取り戻した時、真理はマリアに自分の気持ちを正直に伝えた。

「私ね、クラスに気になる人がいるの?」

「気になる人?」

「うん。その人、いつも明るくて、楽しくて、そして、こんな私にも笑顔を見せてくれるんだ。すごく優しい人。マリアも会ったことある人よ」

「その人は、私を病院で見かけた、松永優介っていう人?」

「そう。偶然マリアを見てしまったことで、私の事、気にかけるきっかけになった。だって私たちそっくりだもの」
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