ハッシュハッシュ・イレイザー
 一つ消え、また一つ消えても、塗り替えられるだけかもしれないし、それは見繕っている幸せなのかもしれない。

 でも私は知っている。

 その本当の意味を。

 愛は美しく、尊いものなら、犠牲があってもいい。

 何度も何度も繰り返せるのも、そこにイレイザーがあってこそ、なせる業。

 汚れたっていいのでは、それはとにかく消せるのだから。

 私一人がそれを知っている。

 それも一つの密かな私の優越感。

 誰が誰に恋して、結ばれても結ばれなかっても、私はそれをじっと見ている──

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