ハッシュハッシュ・イレイザー
「真理、どう思う?」

「何が?」

「だから松永君の事。あの派手な女子高生が言ってたように、本当に不良だったんだろうか」

「何を心配してるの?」

「別に心配してるとかじゃなくて……」

「もし、松永君が元不良だったら、嫌いになるの?」

「えっ、それは」

「だったら、別に気にすることないと思う。松永君はきっと生まれ変わったんだと思う」

「そう…… だよね。人間は変えようと思えば変わるもんね。きっと過去を反省して、いい人になろうとしてるんだわ。もしかしたら、真面目な部分の大切さを知って、それで私に……」

 頬を赤らめるように紫絵里は一人ぶつぶつと自分よがりに話し出していた。

 まるでそれは自分に脈がある関係のように、真理の前では恥も外聞もなく、思うままにふるまっていた。

 そこに願いの叶う石も持ってることを含め、紫絵里は全てにおいて自分にいい風に巡ってきていると信じて止まなかった。

 そして後に、優介と瑠依の観覧車の中で起こった決定的な真実を知った時、紫絵里は益々ドキドキと胸高鳴らせ、自分の恋の成就が近いと思うのだった。
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