ハッシュハッシュ・イレイザー
「それは……」
「ちょっと、本当の事教えてよ」
「でも、一体どうしたの?」
「昨日、柳井さんと松永君が二人で観覧車に乗った時、柳井さん思い切って告白したらしいのよ。その時、松永君は好きな人が居るからって、断ったんだって。 それで柳井さんはもしかして、同じクラスに居るのって訊いたら、松永君は首を縦に振ったんだって。そしたら、当てはまるのは瀬良さんしかいないじゃない」
「あっ……」
突然の突き上げるような胸の高鳴り。
紫絵里はドキドキとして高揚していた。
「ねぇ、一体どうなってるのよ」
「どうもこうも、それはプライベートなことだし」
「なんでもったいぶってるのよ」
小泉ミナミはじれったいとばかりに、苛立っていた。
しかし普段から仲良がいい訳でもなく、こういう時だけ寄ってきて知りたい事だけを探られる事に、紫絵里は辟易した。
ちょうどその時、その噂の瑠依が廊下を歩いて来て、紫絵里を一瞥する。
プライドをくじかれた悔しさと、苛立ちで、きつい目を向けながら、敗北に沈んでしまったぎこちない足取りで教室へと気まずそうに入っていく。
その敗者の後姿は、なす術もなく弱り切っていた。
それが滑稽で紫絵里は心の中で嘲笑った。
「ちょっと、本当の事教えてよ」
「でも、一体どうしたの?」
「昨日、柳井さんと松永君が二人で観覧車に乗った時、柳井さん思い切って告白したらしいのよ。その時、松永君は好きな人が居るからって、断ったんだって。 それで柳井さんはもしかして、同じクラスに居るのって訊いたら、松永君は首を縦に振ったんだって。そしたら、当てはまるのは瀬良さんしかいないじゃない」
「あっ……」
突然の突き上げるような胸の高鳴り。
紫絵里はドキドキとして高揚していた。
「ねぇ、一体どうなってるのよ」
「どうもこうも、それはプライベートなことだし」
「なんでもったいぶってるのよ」
小泉ミナミはじれったいとばかりに、苛立っていた。
しかし普段から仲良がいい訳でもなく、こういう時だけ寄ってきて知りたい事だけを探られる事に、紫絵里は辟易した。
ちょうどその時、その噂の瑠依が廊下を歩いて来て、紫絵里を一瞥する。
プライドをくじかれた悔しさと、苛立ちで、きつい目を向けながら、敗北に沈んでしまったぎこちない足取りで教室へと気まずそうに入っていく。
その敗者の後姿は、なす術もなく弱り切っていた。
それが滑稽で紫絵里は心の中で嘲笑った。