健診診断と恋と嘘
その章にお母さんとのことでひどい事を言われた記憶がトラウマになっている私は話すことを躊躇してしまう。
軽蔑されたらどうしようと思いつつも、私は話し始める。
ずっと誰かに聞いてほしいと思っていたのかもしれない。
「私が、産まれた時……お母さんが、死んじゃって……。私、ずっと産まれてこない方がよかったんじゃないかって思ってたんです」
私がそう言うと三人が息を呑んだのが分かった。
「お父さんは、よくお母さんの位牌の前で悲しい顔をしてたし……お兄ちゃんは私の事を嫌ってました。私が、お兄ちゃんとお父さんからお母さんを奪っちゃったから……私……」
「弓野ちゃん」
高倉さんに名前を呼ばれて、私は顔をあげた。
「産まれてこなければなんて、そんな事言わないで。私が弓野ちゃんのお母さんだったら、命をかけて産んだんだもの、幸せになってほしいよ。そんな風に、泣いてほしくない」
私が号泣しているのをちょっとびっくりした顔で見つめているほのかちゃんを抱きしめて、高倉さんが私に微笑む。