健診診断と恋と嘘

「小塚さんなら連絡先知ってるけど、呼ぼうか?」


高倉さんの旦那さんにそう言われて慌てて首を横に振る私と、激しく頷く他三人。


それを見て高倉さんの旦那さんがクスクスと眉を下げて笑っている。


「じゃあ、連絡してみるわ」


私なんかより愛する奥様の意見を最優先するらしい旦那さんがそう言って携帯を手にする。


「え、いや、いいですって。ダメです、心の準備が……」


慌ててそれを止めようとする私に高倉さん達が真剣な顔で詰め寄ってくる。


「何言ってるんですか、だめですよ。その人だって弓野さんからの連絡待ってるかもしれないじゃないですか。着拒までされて落ち込んでるかも」


「そうですよ。連絡先渡してきたのは向こうなんですから好意はあると思います」


「こういうのは勢いが大事だから。弓野ちゃんはもう波にのまれちゃった方がいいの。宗一郎さん、お願いします」


高倉さんにそう言われて旦那さんは了解、と苦笑いしながら携帯を持って廊下に出て行く。


< 136 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop