健診診断と恋と嘘

また涙出てきたし。もう、制御不能で本当に涙腺壊れちゃったかもしれない。


「まあ、何よりも大切で守りたいと思える相手に出会えたんで。
最近は守ってんだか守られてんだかよく分かんないけど。桐生課長と高倉さんには相変わらず怒られてますよ。
あ、健診で会ってるでしょうけど。うちの嫁さんの千紗です。かわいいでしょ?」


た、確かに千紗ちゃんはかわいいけど、何その会話。


何かのろけてる? 小塚さん笑ってるし。和やかすぎる空気が逆に怖いんですけど。


「知ってるよ。やっぱり相変わらずだな、お前。結城と高倉さんの嫁さんが健診センターの看護師さんだったとはね。
ところで、結城。お前の後ろに隠れてる困った子、俺に渡してくれる?」


「はいはい。ごめんね、俺……小塚課長の味方だから。あの人の事、敵に回したくないんだよね」


そう言われてギクッとした私を、結城さんの旦那さんが小塚さんの方にぐいっと押し出す。


< 142 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop