健診診断と恋と嘘

最後に会ったときと同じ険しい顔に身体に力が入ってしまう。お、怒ってる気がする。


いや、小塚さんが怒っても仕方がない事をしたのは私だけど。


「でしょうね。心中お察しします。弓野ちゃん、ちょっと手がかかりますがいい子なんで……よろしくお願いしますね」


顔は見えないけど、優しい笑顔でそう言ったであろう高倉さんの言葉に、また涙が出てくる。


「……そのつもりです。じゃあ、すいません高倉さん。連絡いただいてありがとうございました。お邪魔しました」


「いいえ、気を付けて。 またそのうちに」


「結城も、またな。お前、ちゃんと書類作成やれよな。桐生さんが嘆いてたぞ」


「だって嫌いなんですもん、そういうの。まあ、その話はまた今度ってことで。しかし、小塚課長のそんな顔が見れてラッキーだな。大分切羽詰まってますね」


「……お前、本当に嫌な奴だな。じゃあ、本当にありがとうございます。失礼します」


ニヤニヤしてる結城さんの旦那さんに嫌そうな顔をした小塚さんに引っ張られるようにして高倉さんの家を出る。


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