健診診断と恋と嘘

そう思って立ち止まっている私の腕を、小塚さんが苦笑いしながら掴む。


「ちょっと、ここまで来て躊躇しないでよ。本当に嘘つくわ逃げるわ隠れるわ往生際が悪いわで手のかかる子なんだけどな。そこがかわいいとか思っちゃうんだから……困ったもんだよね。バカな子ほどかわいいってこういうことかな」


何かひどい事言われたような気がするんですけど。バカって言われた?


「難しく考えなくていいから。とりあえずもう逃げないで。おいで、朔ちゃん」


笑ってる小塚さんに手を引かれて、小塚さんの家に入るとリビングにあるソファーに座らせられる。


テーブルに仕事の書類とノートパソコン、灰皿が置いてあって何本か吸い終わった煙草が入ってる。


「とりあえず……何で結婚してるなんて嘘ついたの?」


隣に座った小塚さんにそう聞かれて、私はおずおずと小塚さんを見上げる。


うう、眉間にシワ寄ってるし、やっぱり怒ってるんだろうな。


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