健診診断と恋と嘘

疑うように見てしまう私を見て、小塚さんがちょっと恥ずかしそうな顔で私を見る。


「どうにかしなきゃと思って、とっさに出たのがあの嘘だったんだよ。
俺、結城と違ってナンパとかした事ないからかなり必死だったんだけど。
結婚してるっていうから、諦めようと思ったけどどうしても繋がりを持ちたくて。
連絡本当に来るかも不安だった。俺的には人生最大の勇気を振り絞ったんだけどね」


だから私から連絡がきて嬉しかったと笑う小塚さんが私の頬に触れて眉を下げる。


「俺は朔ちゃんの事、すごく好きだよ。
会うたびに好きになってた。こんなに一人の女に惹かれたのは初めてで、結婚してようが何だろうが欲しいと思った。
朔ちゃん幸せそうにしてなかったし略奪しようとか、でも人様の家庭を壊すのはとか、かなり葛藤して悩んだんだけど」


そう言った小塚さんが切なげに眉を寄せるのを見て、胸がズキッと痛む。


高倉さんの旦那さんと結城さんの旦那さんが小塚さんの事かなり真面目な人だって言ってたし、今の顔を見ても相当悩んでたのが分かる。


< 152 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop