健診診断と恋と嘘

本当に何気ない嘘で小塚さんの事、たくさん悩ませて傷つけちゃってた。


「だから結婚してないって分かった時は本当に嬉しかったのに。
逃げるわ、電話には出ないわ、メールも無視されるわ。
あげく拒否されるわ。朔ちゃんの会社に押しかけてやろうと思ったけどこんな時に限ってめちゃくちゃ忙しくて帰れないし。
俺、本当にめちゃくちゃ傷ついたからね。どうしてくれるの?」


小塚さんに恨みがましい視線でじっと顔を覗きこまれて私はうっと言葉に詰まる。


「ご、ごめんなさい」


そう言われたらもう謝るしかない私に小塚さんはコツンと額をぶつけてクスッと笑う。


「ダメ、一生許さない。だから朔ちゃん、俺のものになって。朔ちゃんも俺の事好きでしょ? だからキスしてくれたんだよね?」


何もかも分かってますって顔でそう言われたら、素直に頷くしかないよね。


だって私、小塚さんの事が好きだ。すごく、好きだ。


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