健診診断と恋と嘘
一生のお願い
そして十一月一日、私の二十八歳の誕生日。
凌ちゃんの運転する車に揺られて約四時間。私達は私の出身地である長野県のとある温泉宿に来ている。
わりと私の実家からも近いんだけど、ここの温泉に来るのは初めてだ。
私の誕生日プレゼントも兼ねてるからって凌ちゃんが宿選びから予約まで何から何までやってくれて、当日まで内緒って言われたから何も知らないんだけど。
何かすごくいいお宿だな。
そう思ってはいたけど、部屋に案内されて私は目を見開いた。
え、すごい。ひ、広い。
庭があるし、露天風呂ついてる。何か階段あるし……二階があって二階は寝室になってるみたいだ。
思わず凌ちゃんを振り返ると凌ちゃんが目を丸くしている私を見てクスクスと笑っている。
「そんな顔してくれるなら連れてきた甲斐もあたったかな」
「え、でも、だってここ……」
絶対お高いよね?
凌ちゃんに高速代くらい出すって言ったけどいいって言われたから私、本当に一銭もお金出してないんだけど……いいのかな。