健診診断と恋と嘘
「そういうわけだからさ、心配しなくて大丈夫だよ。
会社の事務の子とか、俺の事四十にもなって結婚できないやばい奴だと思ってるよ。
俺は朔夜だけだから、朔夜もよそ見しないでね。
かっこいい人いても着いてっちゃダメだよ」
また子供に言い聞かせるようにそう言われるけど、本当にかっこよければ誰でもいいわけじゃないんですけど。
何かすごい子供扱いされてる気がする。
「もう、子供扱いしてるでしょ。凌ちゃんだけだし、こんなに好きなのに」
頬を膨らませてふてくされてみてからはっとする。こういうところですか、こういうところですよね。
それも全部顔に出ていたらしく凌ちゃんがぷっと吹き出す。
声をあげて笑っている凌ちゃんが私のことを引き寄せて抱きしめる。
「あー、もう本当にかわいい。その言葉が聞きたかっただけなんだけどね。
まあ、子供みたいで危なっかしいところも魅力的だから。
でも昨日の朔夜とかすごい色っぽくてあれ見たら子供とか言えないかな。だって……」
「わー、もういいから。行こう、お父さん達待ってる」
何だかとんでもない事を言われそうな予感がして慌てて凌ちゃんの言葉を遮って凌ちゃんの手を掴む。