健診診断と恋と嘘

「もしかして弓野さんも、お客さんに声かけられたんですか?」


結城さんにそう聞かれて私はちょっと考え込む。声……かけられたっちゃ、かけられたかな。


「健康相談にのってって、電話番号とアドレス渡されました」


そう言うと結城さんは大きな目をこれでもかってくらい、落っこっちゃいそうなほど見開く。


「え、それって単なる口実なんじゃ……。どの人だろう」


あの人、最後に来たんだよね。あの人の後にお客さん来なかったし。


「多分、最後の人です。聴力の部屋で大分喋ってたので下りてくるの遅かったですよね」


お弁当を口に運びながらそう言うと結城さんはまた目を見開いて私のことを見ている。


本当に目が落っこっちゃいそうだな。


「あの、髪あげてるちょっと色っぽい綺麗な顔の人ですか?」


結城さんのその言葉に私は頷くけど、あの人私のこと結婚してると思ってるから。本当に健康に悩んでるだけな気もするけどな。
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