健診診断と恋と嘘

あの人にこんな風に誉めてもらったことあったかな。


料理を作っても食べてくれなくて目の前で捨てられたこともあったな。


こうやって誉めてもらえると頑張って作って良かったなって思う。


「嬉しいです、そんな風に言ってもらえて。やっぱり誉めてもらえると嬉しいですね」


誉められ慣れてないから小塚さんの言葉に自然に笑みが溢れて、素直な気持ちを口にしてしまう。


『……何、旦那さん誉めてくれないの?』


携帯から聞こえてきた小塚さんの低い堅い声にはっとする。


し、しまった。何か余計なこと言っちゃったかも。


あの人の事を思い出しちゃったから、つい感傷的な気持ちになっちゃって余計に小塚さんの言葉が嬉しかったからつい本音が。


「い、いえ。そんな事は……」


『あるよね。すごい沈んだ声だったし』


何とかごまかそうとするけど、小塚さんはごまかされてはくれない。


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