健診診断と恋と嘘
「……分かりました。作っていきますね」
断ることだって出来たのに、小塚さんの提案に私はなぜかそう答えていた。
『え? ほんとに? ダメ元だったんだけど。やった、すごい楽しみ。今更なしとかダメだよ。やばい、来週まですごい仕事頑張れそう』
電話越しに聞こえる嬉しそうなその声に、私も温かい気持ちになって笑みが溢れる。
何でなんだろうな、見たいと思ってしまったんだもの。
小塚さんが私が作ったお弁当を食べて、どんな反応をするのか見たいと思ってしまったんだ。
『……朔ちゃん。ごめん、ね』
耳を通して身体の奥に響いた小塚さんのその言葉にピクッと身体が反応する。
この人の声は、何故だか私の知らないような深いところまでよく響く。
「え、ごめん……? ごめんて、どうしたんですか?」
急に謝られて、ちょっとその意味がよく分からなくて私がそう聞くと小塚さんは少し笑ってる。