健診診断と恋と嘘

「弓野ちゃん、この会社に彼氏でもいるの?」


これまたコソッと聞かれて私は慌てて首を横に振る。


「ち、違います。実はですね……」


こないだの健診からの一連の出来事を話すと高倉さんと結城さんは目を丸くして私の事を見ている。


結城さんには連絡先交換した事は話したけど、お弁当云々の話はしてなかったから私の話を聞いてびっくりしてる。


「えー、すごいね。で、お弁当作ってきたんだ。それでお相手の方は弓野ちゃんが結婚してると思ってるんだ」


そう言った高倉さんがじーっと私の事を見つめていたと思ったら眉を下げて首を傾げる。


「弓野ちゃんは、それでいいの? その人の事、ちょっといいなと思ってるんじゃないの? お弁当まで作ってきたんだし」


え、かっこいい人だなと思うし声がモロ好みだけど……お弁当作ったのだってどんな顔するかな、とか喜ぶかなって思っただけで別に好きとかではないと思う。


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