健診診断と恋と嘘
「まだダメ。もっと……」
低い声でそう囁かれてゾクリと肌が粟立って、思わず小塚さんの服を掴んでしまう。
唇を重ねる度に身体を震わせる私に、小塚さんが少し笑ったのが分かった。
目を開くと、小塚さんの綺麗な顔が間近にあって心臓がドキドキと高鳴る。
何かもう、頭が真っ白になって何も考えられない。
感じるのは、小塚さんの柔らかい唇と身体に巻き付いた力強い腕と温かいぬくもり。
「朔ちゃん、気持ちいい?」
小塚さんの言葉に私は目を開いて小塚さんを見上げる。
「ん……気持ちい……」
そう聞かれて、素直に頷く私に小塚さんが眉を寄せて困ったように笑う。
「俺も、気持ちいい。こんなの初めてなんだけど、イケないことしてるからかな?」
そう言われて、ギクッとする。
そうだ、私……結婚してるってことになってるんだった。