健診診断と恋と嘘

「やばい、癖になりそう」


「ん、ひゃっ!」


ぎゅうっと私を抱きしめて耳元で囁いた小塚さんのその声に変な声が出る。


やばい、腰砕けそう。


「え、何?」


ぎゃー、やめて。耳元で喋らないで、本当に腰砕ける。


必死に耐えて小塚さんに抱きついて胸に顔を押しつける私に小塚さんが戸惑っているのが分かる。


「ちょ、朔ちゃん。それやばいから。本当に何?」


戸惑った声に顔を上げると真っ赤になってるだろう私を見て小塚さんはうっと息を呑む。


何か変な顔してるかな。だけど、小塚さんの声はちょっと私のツボすぎる。


「こ、声が……」


私のその言葉が意外だったみたいで小塚さんは目を丸くして首を傾げる。


「声? 俺の?」


そうです、あなたの声です。低くて少し掠れてて、好みすぎて破壊力がすごいんですけど。


いい声してるって言われたことないのかな。


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