健診診断と恋と嘘

「小塚さんの声が、私好みすぎてやばいんです。だから耳元で喋るのやめてください」


そう言うと小塚さんが驚いたように目を見開く。


「声、は初めて言われたな。顔は良く言われるけど。でも、いいこと聞いたな」


そう言った小塚さんが私を見てニヤッと笑う。


あ、何かちょっと意地悪な笑い方だ。


「朔ちゃん、俺の声に感じちゃうんだ」


か、感じるって。何かやらしい。っていうか恥ずかしい。


「き、切り干し大根作りましょう。ね!」


ごまかすみたいにそう言って小塚さんから離れてキッチンに向かおうとする私のお腹に手を回した小塚さんが私の事を引き寄せる。


「作るけどさ、俺の禁煙に協力してくれる?」


わざと耳元でそう言う小塚さんを睨むと、楽しそうに笑った小塚さんが急に真顔になって私を見つめる。


「……ごめんね、朔ちゃん。もうやめるの無理っぽい……かな」


小塚さんのその言葉を禁煙の事だと思って私はムッとしながら小塚さんを振り返る。


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