彼が残してくれた宝物

「マスターお代わり!!」

マスターにグラスを差し出すと、彼はすかさず、「ミント・ジュレップを!」と言った。

はぁ?!

隣の彼を睨むと、彼は「そんな怖い顔しないで?」と、苦笑する。

なによこの男?!
自分のお金で飲むんだから、好きな物飲ませろ!!

暫くすると、マスターは私の前に静かにグラスを置いた。
それはロンググラスに注がれた、琥珀色の液体。
その中を、ミントのグリーンが色を添えて、とても綺麗だった。

私はそれを口へ含むと、ミントの香りとソーダーが、バーボンの味わいを爽やかに引き立ててくれる。

「美味しい…。」

すると彼は、私の言葉に「だろ?」と微笑んだ。





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