彼が残してくれた宝物

翌朝、目を覚ますと朝5時を少し回ったところ。
まだ、体の怠さは有るが、昨日よりずっと楽になっていた。私はベットを出て、部屋の扉を開け顔を出す。

樋口さんの部屋は1LDKの様で、リビングのソファーには、毛布が置いてあった。

私がベットを占領したから、ソファーで寝てくれたんだ?
悪い事したなぁ…

キッチンでは、樋口さんが朝食の準備をしていた。

私は樋口さんのシャツを着てるだけで、足は丸出し、恥しくて、モジモジしていると、樋口さんと目があってしまった。

「おはよう!」

「…おはよう…ございます…」

「食欲は?」と、聞かれ、私は小さな声で「あります。」と答えた。

すると彼に「スクランブルエッグで良い?」と聞かれ、「はい。」と返事をすると、彼は手際良く作ってくれる。

キッチンのL字型カウンターテーブルに置かれた、サイフォン。

これでコーヒー淹れるの?

コーヒーに、特にこだわりのない私は、自宅ではインスタントコーヒー。
手軽で、まぁまぁのテイストに、満足している。

アルコールランプにフラスコ…?

アルコールランプやフラスコなんて、見るのは高校の時、以来だろうか?

私はイスに座り、樋口さんがコーヒーを淹れるのをじっと見ていた。





< 16 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop