彼が残してくれた宝物

色々、握って貰ってるうちに、エンガワの握りが出て来た。

「あっエンガワ!」

「エンガワお好きですか?」

「はい! お寿司だと、1番がエンガワ、次に子持ち昆布で、あっ貝類も好きです。 バイ貝や、ミル貝! アカ貝も好きです!」

大将の握ってくれたエンガワを食べると、今まで私が食べて来たものは何なの!? と、言うくらい、歯ごたえ、甘み、何とも言えない幸せを、感じる。

「このエンガワ凄く美味しいです。こんな美味しいエンガワ初めて食べました。 何でこんなに甘くて美味しいですか?」

「ネタが良いのは勿論ですが、ヒラメのエンガワは歯ごたえもあって、噛めば噛むほど甘みがあるんですよ。」

「私が今まで食べてたエンガワって、なんだったんでしょう?」

「店によっては、キロ単価の安いカラスガレイのエンガワを出す店も有りますが、どちらも取れる量はしれてます。平目だと、1匹で、握り4貫です。値段の安いチェーン店では、体長の大きいオヒョウを使う様です。
ヒラメが繊細な旨みと、程よい脂ノリに対し、カレイ類のエンガワは、大味で脂が強い事が特徴ですね。」

「もしかして… マグロも?」

最初に食べたマグロも、私が知ってるマグロと違った。

「全ての店がとは言いませんが、偽装魚が多いです。」

「偽装魚!?」

「代用魚と、言った方が良いでしょう。
代用魚とは、日本で古くから食用とされてきた魚介類の代用品として、近年利用されている魚介類のことです。従来は、国内で流通・消費されてこなかった外国魚や、深海魚などが使われています。
代用魚は、高級魚の代用安定供給や、コスト削減を目的に使われてます。
従来の魚と味が似ていても、外見が異なるものが多いため、切り身や加工品として売られてますね。
主に外食産業、学校給食の加工食品や、回転寿司のネタなどが、多いようです。
シシャモは、今や、代用魚の方が主流となってます。
しかし、うちの店は、代用品は使ってません!
全てあっしの目で見て仕入れてますから!」

「なんか… 大将の話聞いたら、悲しくなって来ました。
いままで、喜んで食べてたお寿司が、全て偽物だったと思うと…」

「じゃ、これから、寿司が食べたくなったら、あっしの店に食べに来て下さいな?」

「有難うございます。」




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