彼が残してくれた宝物

週末、徹さんに付き添われ、お供えするお花を持って伊藤課長の実家に向かった。

伊藤課長の親族になんて言われるだろう…

同僚に住所を聞いてから、ほとんど眠れなかった。
私は、伊藤課長の親族になんと話せばいいのか…

もし、私の犯した罪を知ったら…?
許して貰えるだろか?
それとも、怒声を浴びせられ、罵られるだろうか…?

怒声を浴びせられても、罵られても仕方ないと分かってる。
でも怖い…
自分が犯した罪だが、明らかになるのが怖い。

「桜?…大丈夫?
なんなら、俺一人で聞いてこようか?」

「ううん。 これは私が自分で聞かなきゃいけないことだ思う…から。」

大丈夫。何を言われても俺がついてるから? と言って、徹さんは、私の手を握ってくれた。

この手が、ずっとはなれない事を願いたい。




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