彼が残してくれた宝物
彼のマンションから、どうやって帰って来たかも分からず、気が付けば自分の部屋にいた。
その時の私は魂しの抜けた、脱け殻になっていたのだ。
この部屋も街も、想い出があるぶん、辛すぎる。
でも…
今更、自力で離れる事なんて出来ない。
ここを出て必死に仕事してれば…
あの時も引っ越そうとしたが、結局出来なかった。
きっと今回も時間が助けてくれる。
あんなに辛かった伊藤課長の事だって、直ぐには思い出せないくらい、最近は幸せだった。
あの辛い夢も最近は見ない。
課長の奥さんは許してくれたのだろうか…?
きっと時間はかかるかもしらないけど…
彼のことも…
そのうち同じように、なにも感じないようになれる…
きっといつか…