彼が残してくれた宝物

妊娠13週目

「え?」

エコー画像を見ていた、女医の先生の詰まった声に不安が過る。

私の赤ちゃんに何か問題でもあるの…

先生は慎重に超音波検査を続ける。

お願い。
私の赤ちゃんに、何もありませんように…

私はただ祈って先生の次の言葉を待っていた。
一分一秒が、もの凄く長く感じる。
先生…

「双子ちゃんね!」

先生の言葉に私は驚き、思わず飛び起きた。

「えっ本当ですか!?」

「本当よ、ほら横になって?」

先生は2つの心拍が確認出来るから、間違いないと言ってくれた。
その後、先生にはシングルマザーで、双子だけど大丈夫かと聞かれた。確かに両親が揃っている子と同じ様に幸せに出来るか自信はない。

私は両親に父親の居ない子供を産む事は反対されていて、勘当状態になっている。他に頼る人も居ない私が、本当に育てて行けるだろうか?

でも… 産みたい!
彼が残してくれた宝物だもの。

「先生? この子達に、幸せを与えられるか分からないけど… でも… 私がこの子達と幸せになる自信はあります!」

先生はにっこり笑って「じゃ、頑張りましょう!」と言ってくれた。





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