彼が残してくれた宝物
妊娠がわかって、今までのような短期の仕事では、子供を育てられないからと、派遣の仕事は辞めることにした。
『えっ? いつもの冗談ですよね?』
「都筑君ごめん。 今回はホント。」
『えっ!? 秋さんに辞められたら、僕はクビじゃないですか?』
「クビにはならないでしょ? ごめん、社長に代わってくれる?」
『秋さん、辞めるってどういう事?』
私は、社長に妊娠したと話した。
「すいません。 社長には、色々お世話になったのに、こんなかたちになってしまって…」
『そう言う事情なら…辞めるのは仕方ないけど、この先どうするの? 結婚するの?』
「いえ、結婚はしません。 子供は一人で育てます。」
『だったら、辞めたら食べていけないでしょう? 今まで通りうちで働いたら? 秋さんなら、いくらでも仕事回せるわよ?』
「有難うございます。でも、これからお腹が大きくなると、通勤も大変になりますから?」
初めての事で分からないけど、双子なら、相当お腹は大きくなると思う。
「どこか近くで、社員で働けるとこ探します。」
『分かった。秋さんには、うちとしてもお世話になったから、私が責任持って探してあげる!』
「社長… 有難うございます。」