彼が残してくれた宝物
雅寿司では、大将と女将さんの笑顔に迎えられた。

「いらっしゃいませ。」

「お久しぶりです。 ご無沙汰しておりました。」

「良く、いらして下さいました。」

「「ママ…。」」

厳つい顔の大将に、子供達は少し怯えている様だ。

「こちらの大将がママに、初めて本当のお寿司を食べさせてくれた、とても優しい方々よ?」

「え? 秋さんのお子さん? ですか?」

驚かれるお二人に、微笑んで頷く。
そして、「誠さんと、徹さんの子供達の、こっちが奏輝で、こっちが律輝です。」と、私は伝えた。

するとお二人は更に驚かれていた。
驚くのも仕方ない。
父親が二人いると言うのだから。

驚いているお二人に、誠さんが、詳しく説明した。

「え? そうだったんですか? 私達は、素性を教えないで欲しいと、言われていただけで、入れ替わってるとまで知らなくて…すいません。」と頭を下げる女将さん。

「そうですか? お二人のお子さんですか? 良かった… ホント良かった。」大将は瞳を潤ませていた。

「ちょっと、泣いてないで、早く皆さんに握って下さいよ!」

「煩い泣いてねぇ! 山葵が目に入ったんでぇ!」

大きな声の大将に子供達は怯え身を縮めていた。

「大丈夫だから。」

私の言葉に、奏輝と律輝は、不安ながらも頷いた。

「坊ちゃん達は何が宜しいですか?」
大将の言葉に二人は、

「「本物のお寿司!」」と答えた。




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