彼が残してくれた宝物
子供達と同じ様に、食べてる伸君に、
「伸、お前は遠慮して食え?」と誠さんは言う。
「遠慮なんか出来ないよ! 雅寿司でなんて、誠さんと一緒じゃ無いと、食べれないんだから?」
「そうよね? 学生の伸君には金銭的に無理よね?」
「え! 違うよ? もしかして、桜さん知らないの? このお店、樋口家専用の店なんだよ?」
専用…?
「だから、今は、誠さんか、樋口のおじさんとおばさんの紹介が無いと、食べれないの?」
「伸! 黙って食え!」
「でも、今度からは、桜さんの紹介でも食べれる様になるね?」
え?
「余計な事をペラペラと… 桜には後で、ちゃんと話すつもりだった。
ここは、樋口家が出資してる店で、大将は以前うちの邸で、働いて貰っていたんだ。」と誠さんが言う。
「だから、他にも、フレンチ、イタリアン、中華。日本食は、寿司の他にも割烹料理もあるよ? 全て、樋口家専用で作られた店。誰でも入れる店じゃ無いんだ。」と伸君は教えてくれる。
え? て、事は、お家には、料理ごとにシャフがいるって事?
どんな家なの??
「あーあー、桜さんの口が閉まらなくなっちゃった?」
「伸が、余計な事はなすからだろ?」
「だって本当のことじゃん? 俺も最初聞いた時は、驚いたし! 桜さんのお寿司は全て僕が食べるから、心配しなくて良いよ?」
「えっと… なんて言ったら良いのか… やっぱり私達このまま…」
「桜? もう嘘も、隠し事もしたく無いから、全て話す。この後もう少し時間くれないか?」
「でも、遅くなると子供達が… 両親も心配するし?」
「伸?」
「分かってる。 奏輝、律輝、今日は、しんちゃん先生と帰ろう? ママとパパはもう少しお話有るから?」
「うん! 良いよ?」
「分かった!」
「でも…」
「伸より、桜井の方が信用出来ると思うけど、面識のない桜井より、多少なりとも、面識のある、伸の方がご両親も安心なさるだろ?」