あたしの1番大切な人


 ――ビクっ。


 なにかと思ったら……真琴があたしの目に溜まってた涙を拭ってくれて、背中を優しく擦って落ち着かせようとしてくれる――…。


 でもそんなことされたら余計、溢れ出ちゃうよ。
 こういう時の真琴のその優しさ…あたし弱いんだよ?真琴も知ってるでしょう?
 ……しかも真琴があたしを触る手はすごい優しい。この手すごい好き――


 ……たったそれだけのことであたしの涙腺はすぐに崩壊して


「――っ…うぅ…グスっ…うわあぁー…」


 自分の情けなさとか、自覚のなさとかそういうのが全部一気に思っちゃったから…

 涙がとめどなく溢れてそんな状態のまま真琴の胸に抱きついて―…そんなあたしを真琴は嫌な顔一つしないで…あたしの背中を抱きしめ返してくれたんだ―…。


***

 あれから30分が経過して、やっと泣き止んだあたしに


「――クスッ。落ち着いた?」


 急に恥ずかしさが込み上げてきて、真琴から逃げようとしたけど、真琴がそれを制止して…真琴はあたしの背中にある手を少し緩めただけ――…


「――良いよ、この状態で。こんな杏奈の泣き顔見れるの滅多にないしね♪」


「――っ…離してっ」


「ヤだ」


「ヤだじゃないっ。はーなーしてっ」


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