あたしの1番大切な人
真琴があたしを離してくれる気配が全くないため、向かい合ったままの体勢で真琴が話しかけてきた。
「……急がなくて良い…。焦らないで、杏奈のペースで進んでけば良いんだ。ただ――今は、前より受験生の自覚をしっかりと持たないといけないとは思うけど」
それはとても優しくて、穏やかな声で。
「…………っ、わかってる」
「これからどうするのかはそれは全部、杏奈次第になってくるけど――。でも、勉強教えるとか相談に乗ったりとか……、それくらいは俺にだって出来る。だから少しくらい頼って?」
「…ん…。あり…が――…」
また泣きそうになって、声がかすれて声が出なくて。お礼をはっきり言いたかったけど、途切れ途切れにしか言えず…。だけど真琴にきっと伝わったハズ……。