あたしの1番大切な人


「でもまだ伸びてるし!」


 ――ククッと真琴が喉を鳴らして。


「――まぁ俺、杏奈くらいの身長嫌いじゃないけど♪」


「……さっき小さいって言った」


 膨れっ面でそう言ったあたしに対して真琴は、『小さいとは言ったけど嫌いとは言ってない』とシレッとした顔でニッコリ笑って呟く。
 ――っていうか、そんな勝ち誇った顔でなんであたしを見るの。


「……話変えるけど」


 真琴の顔に耐えきれなくなり。話を変えてみる。


「……なに?」


「この間のこと……なんだけど」


 真剣な面持ちで真琴にそう言えば、真琴も同じように真剣な面持ちで答えてくれる。


「――決めたんだ?」


「……一応…」


「……そっか。で、どうなった?」


「……文句言ったり、笑ったりしちゃヤだよ?」


「――はっ、杏奈が真剣に考えて出した答えだろ?笑うわけないだろ。――それに元々、杏奈が出した答えなら俺はなんにも言わねーよって伝えてたハズだけど?」


 ―――そうだった。確かにそう伝えてくれてた。


「――ありがと」


< 26 / 99 >

この作品をシェア

pagetop