あたしの1番大切な人
「…………(苦笑)」
苦笑混じりの顔で、真琴の方を向けば――。
「その顔……まさか考えてなかった?」
――やっぱ真琴には、なんでもお見通しだ。あ…、なんか変な汗かいてるあたしはなんとも言えない表情で真琴に向かって笑う――。
「……マジで。そっか…なら、杏奈が決めるの迷ってんなら俺が決めて良いか?」
――いや、真琴があたしの志望校決めるとかおかしくない? 絶対おかしすぎる。
「いいよ~♪あ…でもレベル高すぎってか超進学校はやめてね~?」
でもこの時のあたしは、なぜかこう答えちゃったんだ。 そう答えたことを間違えたと後悔することになるのはその少しあとのこと――。
「おっけ~」
――あまり深く考えないで『決めて良いよ』とは言ったは良いけど。
……うわ~、今さら不安がピークに。
……『決めて良いよ』なんて軽く言わなければ良かった…。今さら後悔しても遅いけど。
「――じゃあ杏奈、マジで俺が決めて良いんだよな?」
「――うん」
――ホントはイヤだけど。もう仕方ない。
「…わかった。それじゃあ」
と、ニッコリ笑って真琴が言った時、あたしは嫌な予感しかしなかった。