あたしの1番大切な人
申し遅れました。高瀬 杏奈です。
今あたしの横にいる、無駄に背が高くて容姿端麗の男は日比野 真琴。
あたしの家の高瀬家と真琴の家の日比野家は、あたしたちが生まれる前から家族ぐるみの付き合いをしていたせいか、お互いの両親も超仲良しで。そんな家に生まれ育ったあたしと真琴は…それはそれは兄弟のように育てられた。
家が隣同士の幼なじみだし。
お互いの家の行き来は自由だし。
真琴ん家は第2の家みたいなものだし。きっと真琴もそう思ってると思うけど―…
だからずっとそういう環境で育ってきた真琴とあたしは《家族》であって《幼なじみ》。……どんな幼なじみや家族よりも絆は絶対に強いハズ。
よく友達に、『真琴君は好きじゃないの?』
とか聞かれたりするけど。……ただの幼なじみに特別な感情を抱くわけがないからね。
小さい頃は
『杏奈真琴と結婚する』
みたいなこと言ってたみたいだけど……今じゃそんなことありえない。