あたしの1番大切な人


 真琴が部屋を出てからのあたしは、1人ファッションショーを繰り返すだ。


「どうしよ…」


 タンスやクローゼットを開けたり閉じたり繰り返して。


「――…っ」


 てかあたしなんでこんなに頑張ろうとしてるんだろ――…。


 ……相手は真琴だし、服装なんていつも見られてるんだから、頑張る必要なんてない。
 ――だから適当で良いハズなのに――。


『杏奈まだかー?』


 階段のところから真琴が呼んでるのが聞こえた。


 そんなに遅かったかな?あたしにとっては普通だったんだけど…。


「…ちょっと待って!あとちょっとだから」


『まだ用意終わってないのか?』


「まぁ、あと少しだから。良いから、真琴は待っててよ」


『はいはい』


 ヤバ……っ。早くしなきゃ。
 でも――どうしよう?


 うーん……もういっそのことワンピにしようかな。


 その方が種類もたくさんあるし、コーデもそれ一着で済むから楽だしね。


「――よし!」

 ……バタンとタンスを閉めて。


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