あたしの1番大切な人


 ――ため息を一つ吐き、それから俺――と言葉を続ける先輩。


「……俺ね、人を好きになりやすいらしいんだ。あ…言っとくけど、付き合ったヤツらは全員マジで好きだったんだよ?ちなみに――俺、好きになったら即行動タイプでさ、アピールしまくって、告って付き合う、みたいな。だから色んな噂立てられるんだろーけどね。ま、べつに良いんだけど。見かけの俺じゃなくて内面を信じてくれるダチが一人でもいるだけで、それだけで十分だから」


 そんな傷付いたような顔で、十分だ、なんて――。
 先輩の表情を見たら、なにも言えなくなってしまって。


「―――せんぱ…」


「……あぁ、なんかごめん…。雰囲気壊しちゃった。よし、話を変えよう!2人は何食べよっか?」


「……あっ、水まだ持って来てなかったね。今水持って来るから、ちょっと待ってて。これメニュー表だから、何食べるか決めててよ」


 あたし達から逃げるように先輩からメニューを渡され。


「…はい」


「じゃ、よろしく」


 忙しそうに、先輩は水を取りに行ってしまった。



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