無口なイケメンは突然に
コンビニを出ると外に、アルバイト募集の紙が貼ってあった。
アルバイトか……
特にやりたい仕事があるわけでもないし、家から近いから歩いて行けるし、もしやりたい仕事が見つからなかったらコンビニでバイトしようかな。
スーパーで働いていたからコンビニもスーパーとあまり変わらないよね?
それにあの無愛想なイケメンよりは私の方が接客は出来る自信がある……って何を対抗しちゃってるんだろ私。
まだ働くって決めたわけでもないのに。
でもあのイケメンって絶対に損してる筈だ。
あの顔だったら"高嶺の花"と言われてもおかしくないくらいのイケメンだ。
無愛想じゃなくて笑顔で爽やかイケメンだったらお客も増えそうだけどね。
そんな事を思い家に帰った。
家に着くと母も仕事が終わったのか帰ってきていた。
「ただいま、お母さん今日は遅かったね?」
「今日は忙しくて久しぶりに残業だったのよ。菜美は何処行ってたの?」
「お砂糖を買うの忘れたからコンビニに行ってた」
そう言って買って来たばかりのお砂糖の入った袋を母に見せた。
私は料理の続きをして、母も一緒に手伝ってくれた。
夕食が出来たあとは母は洗濯物を畳み、私はお風呂掃除をしてお湯を溜めた。
そうこうしている間に父も帰ってきて、三人で夕食を食べた。
今まであまり気にしていなかったけど、家事をして改めて母は凄いって思った。
小さい頃から当たり前のように家事をこなして、私が小学生の高学年からはパートに行き出したから、仕事と家事をこなすのは凄い大変だっただろうなって思った。
夕食の時間には温かいご飯が出来ていたし、掃除も洗濯も母がずっとしていた。
勿論、私も手伝いはしていたんだけど、私が仕事をしだしても手伝える時は手伝おうと思った。