花魁〜撫子達の葛藤〜
だから、亜弥は暗記時間は必ず集中してやることを決めていた。

でないと、例えば亜弥よりも大幅に格下の人にも、いとも簡単に負けてしまうのだ。

そんなものだから、真梨子も暗記時間を集中しなければ逆に真梨子が取れなくなってしまう。


かなり複雑な話になってきたけれども、競技者にとっては難しいところだ。

どういうふうにして、相手の流れをせき止めるか、さらにそれを、自分の流れに変えるか。

試合に勝つには、そういった所___いうなれば、相手の弱点を短時間で見つけ、利用する必要があるということだ。

それだけではない。

自分がもっている良点をどう生かしてくるかも、勝利の鍵となる。


これは、考えれば単純だけれど、なかなか気付けない。そして気付いたとしても、実行に移すことは難しいのだ。


そうこうしているうち、暗記時間がおわった。

真梨子の陽気なタイマーが、時間の終わりを賑やかに告げた。

「「宜しくお願いします」」

まずは、相手に一礼。

「「宜しくお願いします」」

そして、スピーカー(読手)に一礼。
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