花魁〜撫子達の葛藤〜
「大体マリちゃんだってさぁ...」

バタンッ


......え?

亜矢ちゃんが、倒れたァ!?

どうしよう、どうしよう!

さっきの熱っぽいって、本当だったの!?

なのに無理して来て、しかもでかい声で怒鳴ってたから...。

「どうしよう...あたしの、せいだ」

ポロポロと涙が零れてくる。

ゆっさゆっさと亜矢ちゃんをゆする。

けれど亜矢ちゃんはピクリとも動かず、目を瞑っていた。

あたしが途方に暮れかけたそのとき!


「あのう、救急車、呼びましょうか?」

澄んだ、低く淡い声。
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