花魁〜撫子達の葛藤〜
あたしが見上げると、心配そうに亜矢ちゃんを見つめる優しい顔の少女がいた。

「あなたは?」
「そんなこと、今はどうでもいいですよね。とにかく、救急車呼んどくんで...」

その少女は淡々と喋り、黙々とケータイの番号ボタンをプッシュしている。

「もしもし?すいません、××駅なんですけど...はい。分かりました」

呆気に取られていると、少女はニコッと微笑んでこう言った。


「もうすぐで来るそうですよ。あなたはなにか用事があったんでしょう?
行ってください。××病院に運ぶそうですから、帰りに御見舞でも行ってあげてください」


すごい、行動力...。

カッコイイ、と素直に思った。

「あの、本当にありがとうございました!」
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