花魁〜撫子達の葛藤〜
(これで、すこしでもマリちゃんに近づけたかな?)

亜矢は自分と張り合うマリちゃんを想像し、クスッと笑った。

「亜矢ちゃん、そろそろ宿に行こう。」

祖母が亜矢の肩をやさしく叩く。

百人一首を教えてくれたのはこの祖母であったので、亜矢はこの祖母を尊敬していた。

また祖母も、趣味である百人一首を孫に愛してもらえて、嬉しいようであった。

2人は宿へと向かった。


宿に着き、畳の部屋に百人一首を広げる。

そしてパラパラと、札流しを始めた。

「やまが、うか、さ、みよ、たち、ひとも、よのなかよ、しら...」
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