花魁〜撫子達の葛藤〜
でも、亜矢は怖かった。

何かにハマって、そして何かをおろそかにして呆れられてしまうことが...。

だから亜矢は、

「百人一首ですね、ありがとうございます。...それじゃ」

そして、帰ってしまったのだった。


帰り道、そして家に着いてからも、亜矢の頭は百人一首のことでいっぱいだった。

亜矢はその日、百人一首について調べた。すると、まず競技を行うには札を100首覚えなければならないことが分かった。


面倒くさかったものの、特にやることもなく、何より百人一首に大きな興味があったので亜矢は覚えることにした。

「えーっとナニナニ?...『秋の田の』が『わが衣手はつゆに濡れつつ』?
だーっ!!!!覚えらんないっ(ó﹏ò。)↷↷」

結局亜矢は一睡もせず、次の日を迎える形となった。

(あー眠...。死ぬかも...)

トロトロとした足取りで歩いていた亜矢に、思い切り突進してきた女の子がいた。

村田真梨子である。

2人は接触し、倒れた。

「アイタタタ...ごめんなさいっ!!!!」
「え!?いや...大丈夫」
「そうですか...キャー!膝!膝から血!出てますよ!?ごめんなさい、バンドエイド...」

真梨子はゴソゴソと、バッグを漁り始めた。でも結局は、

「ごめんなさい、ハンカチしかなかったです...。これで、なんとか抑えてください!」

そして、ハンカチを手渡してきたのだ。

「ありがとう...。あの、名前は?」
「真梨子っ!村田真梨子!!!!そっちは?」
「山内...亜矢」
「あーっ、昨日の自己紹介の!同クラか〜よろしくね、亜矢ちゃん」
「こちらこそ」


そして2人は、友達になった。
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