花魁〜撫子達の葛藤〜
「亜矢ちゃん!次移動だよね、行こっ」
「うん!待って、マリちゃん!」

亜矢は真梨子のことをマリちゃんと呼び、真梨子は亜矢のことを亜矢ちゃんと呼ぶ。

ごく、普通のことであった。
さらに真梨子は亜矢の友達であった仁奈とも友達になり、主に三人で行動した。

ある時、仁奈は部活だったので、亜矢と真梨子の2人で帰る時があった。

「仁奈ちゃん、バトントワリング部だよね。頑張ってほしいねッ」
「そーだね。ねえマリちゃん。この後、時間ある?」
「ん?...あるけど」
「よかった。この後、見学行きたい部活あって...。」
「え!?どこどこっ?」

亜矢は少し恥ずかしがりながらも、おずおずと話し始めた。

「百人一首部...。入りたいなって思ってて...!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

真梨子はしばらくポカンとした顔をした。

「...ふぇ、百人一首?」
「そぉ!もう、20首くらい覚えた♪」

和気あいあいといった様子で話す亜矢に戸惑いつつも、真梨子は言った。

「分かっ...た。行こいこっ!」

そして、百人一首部の部室___。

相変わらず百人一首部の部員たちは、活気に満ち溢れていた。

「かささぎの___」
シュッ、バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

選手達は、「しろきをみれはよそふけにける」と書かれた札を弾き飛ばす。

唖然とする真梨子。でもやはり、心奪われ、見入ってしまっている。

「おくやまに___」
シュッ、サッ...バチンッ

(あっ!おくやまに、だ!この札覚えた...下の句は...ええと、なんだっけ)

亜矢が右往左往している間に、選手達は札を払い、遠くまで飛んで行った札を取りに行っていた。

その札には、「こゑきくときそあきはかなしき」と書いてある。
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