花魁〜撫子達の葛藤〜
すると真梨子が、すらっとこんなことを言った。

「この...『ゑ』ってやつ、なんて読むの?
『こるきくときそあきはかなしき』?」

案の定の...よくある質問だ。
そろそろ古典でやるはずだが...。

「これは、『え』って読むんだよ!昔の言葉で、『え』は『ゑ』って書くし、『い』は『ゐ』って書くし...。そうだな、『ん』は『む』って書くんだよね!」

百人一首を覚えた時蓄えた知識を、亜矢は鼻高々と言った様子で真梨子に話す。

真梨子はそれを、ほうほうと聞いていた。

やがて、見学が終わり、先輩達から入部届を渡された。

「もし正式に、入るようだったら、明日の放課後出しに来てくれる?」
「「はいっ」」

そう言って、入部届を渡してくれたのは高3の

堀田 萌莉(ほった もえり)

先輩だ。堀田先輩は近江にも行き、楽都中学高等学校・ベストエイトに貢献した先輩だ。昨日、『たご』を払った先輩だ。

他にも、

竹腰 百合子(たけこし ゆりこ)

先輩、高2や、

丸茂 晴香(まるも はるか)

先輩、高1、

結城 凪乃(ゆうき なぎの)

先輩、中2など、素晴らしい先輩は数多くいる。ずらっと並べて...10人は軽く超える。

そんな先輩方に囲まれながら、亜矢たちは入部を決めたのだった。

****帰り道*****

「そういえばさぁ、百人一首部って週何日だろうね?少ないよね、文化部だし」

ふいに真梨子がそう問うた。

「私、聞いてみようか?堀田先輩と、LINE交換したんだ」

亜矢はそう言ってスマホを取り出し、堀田先輩とのトーク画面を開いた。
まだまっさらなトーク画面に、亜矢の「百人一首部って週何日ですか?」というメッセが送信される。
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