それはとっくに恋だった
「そうだ。私、今日は千尋もいるって言ったっけ?」


「え?お兄ちゃんいるの?聞いてない!」


「まぁ、いいじゃない。お兄ちゃんだって、未来の弟がみたいのよ。」


「・・・・ごめんね。颯太。」


「大丈夫。お兄さんにもお会いしたかったし、むしろ良かったよ。」



申し訳なさそうにする真尋に虚勢を張ったけど、内心はすごく動揺している。


真尋の家は広いとは言っても豪邸ではない。いや、立派な家だけれども・・・。



とにかく、何が言いたいのかと言えば、玄関からリビングまでにそんな距離はないってこと。


すくなくとも、俺の動揺を落ち着かせるには短すぎる。



それでも、止まることもできず、流されるように招き入れられたリビング。


先週、真尋と二人で座ったソファーの正面にその人はいた。



真尋のお父さん。


そして、思った。



真尋さん、話が違いますよ・・・。と。
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