それはとっくに恋だった
「何やってんだ!」


その顔がだんだん怒りに満ちてくる。


「お兄ちゃん・・・」


「千尋、静かになさい。」


お母さんが、声をかけるがお兄さんは聞く気配はない。


立ち上がってこちらに来ようとする腕をお母さんが掴んだ。




「静かに聞いてるって約束よ。黙ってられないのなら上に行ってなさい。」


「何でかーさんはそんなに落ち着いていられるんだ?!前から知ってたのか?」


俺はその言葉にギクッとした。



お母さんは真尋が実家に帰ってしまったときにすべてばれている。


正直に話すべきか迷っているとお母さんはシレっとこう言った。


「あら、だってこの間まで彼氏もいなかったんだもの。それなのにもう紹介したいなんて言われたら妊娠かもって思うのは普通じゃない?」


だが、この言葉がお兄さんの怒りをさらに助長させる。


「この間まで彼氏がいなかったぁ?!お前ら付き合ってどれくらいなんだ??!!」


「・・・3ヶ月です」


「3ヶ月で妊娠って何考えてんだ馬鹿野郎!!」


お兄さんの怒りは頂点に達した。
< 104 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop