それはとっくに恋だった
中学に入って、うちの子も挽回できるかと期待もしたけど、そんなわけもなく。


たっちゃんとりっちゃんの間に微かに漂い始めた甘い雰囲気に気づくこともなく、ただただのんきに暮らしておりました。


相変わらず、りっちゃんには思ってもないことばかり言って、そのやり取りはまるで姉と弟のような見えました。


そんな3人の関係も、中学を卒業と同時に終わりを迎えます。


たっちゃんとりっちゃんが付き合うことになったのです。



まぁ、結果的にうちの息子は失恋したわけですが、傍で見ていた私に言わせれば自業自得というやつです。



ただ、りっちゃんと付き合うことになったとたっちゃんが報告に来たあと、息子はたっちゃんが帰った後もずっと玄関に立ち尽くしていました。


あまりに動かないので心配になって見に行くと、小学校3年生の時に、2歳下の弟にサンタクロースはいないと知らされた時と同じ顔をしていました。



その顔を見て、少しだけ、不憫に思ったものです。
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